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40代で結婚相談所カウンセラーは「きつい」?あなたの「お節介」が誰かの幸せを呼ぶ理由

「人の人生を左右する仕事って、本当に私に務まるのだろうか…」

40代後半の私は、長年勤めた会社を辞め、結婚相談所のカウンセラーへの転職を考えていました。元々、人のお世話をするのが好きで、友人からはよく「お節介だね」なんて言われることも。そんな私にとって、誰かの幸せを後押しするカウンセラーの仕事は、まさに天職のように思えたのです。

しかし、理想と現実のギャップに不安が募ります。会員からのクレームや無理難題、成婚へのプレッシャー、そして何よりも「感情労働」と呼ばれるそのきつさについて、リアルな声を聞くたびに心が揺らぎました。

「この『お節介』は、本当に誰かの役に立つのだろうか?それとも、ただのおせっかいで、かえって相手を傷つけてしまうんじゃないか…」

そんな葛藤を抱えていた私に、転機が訪れました。学生時代からの友人であり、現在、ベテランの結婚相談所カウンセラーとして活躍している田中美咲さん(40代)との久しぶりの再会です。

理想と現実の狭間で揺れる「カウンセラーのきつさ」

美咲さんとカフェで会った私は、早速、抱えていた不安を打ち明けました。

「美咲、私、結婚相談所のカウンセラーになろうかと思ってるんだけど…正直、すごく不安なの。人の人生に関わる仕事だから、責任が重いし、クレームとかも多いって聞くし…」

美咲さんは私の話をじっと聞いてから、優しく微笑みました。

「うん、よく分かるよ。確かに、この仕事は『きつい』と感じる瞬間はたくさんある。でも、その『きつさ』の先に、他の仕事では味わえないような、とてつもない喜びがあるのも事実なんだ」

彼女の言葉は、私の心の奥底に響きました。美咲さんは、続けてカウンセラーの仕事の「リアル」を語ってくれました。

「まず、会員さんの期待値と現実のギャップからくるクレームは避けられない。例えば、『こんなはずじゃなかった』とか、『もっと良い人を紹介してほしい』とかね。時には、感情的になって、理不尽な言葉をぶつけられることもある」

私は思わず息をのみました。想像していた以上に厳しい現実です。

「あとは、成婚へのプレッシャーも常にある。会員さんは、私たちを頼って入会してくるわけだから、『なんとか成婚させてあげたい』という気持ちはすごく強い。でも、それが結果に結びつかないと、自分を責めてしまうこともあるんだ」

美咲さんの話を聞いていると、私はまるで自分がその場にいるかのように、会員の期待やプレッシャーがのしかかる感覚を覚えました。

「そして、一番きついと感じるのは、やっぱり『感情労働』の部分かな。会員さんの喜びや悲しみ、怒り、不安…あらゆる感情に寄り添い続けるから、自分自身の感情が消耗してしまうこともある。特に、うまくいかない時に、会員さんの絶望感を一緒に感じてしまうと、『私には何もできないんじゃないか』って無力感に苛まれることもあったよ」

美咲さんの言葉は、私が漠然と抱いていた不安を具体化し、同時に、この仕事の奥深さを教えてくれました。私は「こんなはずじゃなかった…」と、一度は諦めかけた気持ちになりました。しかし、美咲さんの次の言葉が、私を再び前向きな気持ちにさせてくれたのです。

「お節介」を「プロのサポート」に変える心構え

「でもね、この仕事は、あなたの『お節介』が最高のギフトになる仕事でもあるんだよ」と美咲さんは言いました。

「私が思うに、カウンセラーって『人生の航海士』みたいなもの。会員さんの結婚という航海をサポートするけれど、荒波を乗り越えるのは本人たち。私たちは羅針盤であり、時に嵐を予報する役割も担う。無事に港に着いた時の感動は、本当に格別なんだ」

美咲さんは、クレームやプレッシャーにどう向き合ってきたのかも教えてくれました。

「クレームは、会員さんが本当に求めているものが見えてくるチャンスだと捉えるようにした。無理難題も、プロとしてどう応えるか、腕の見せ所だと思えばいい。感情労働で疲弊しそうになったら、意識的に線引きをして、自分をケアする時間を取る。美味しいものを食べたり、趣味に没頭したり、時には信頼できる同僚に話を聞いてもらったりね」

「一番大切なのは、会員さんの幸せを心から願う気持ちと、それを実現するために自分ができることを精一杯やること。そして、結果が出なくても、自分を責めすぎないことだよ。だって、ご縁は私たちが作るものじゃないからね。私たちはあくまで、ご縁を繋ぐお手伝いをするだけ」

美咲さんの話を聞いて、私の心はすっかり軽くなりました。私の「お節介」は、単なるお節介ではなく、プロのサポートとして誰かの人生を彩る力になるかもしれない。そう思えたのです。

カウンセラーとして長く活躍するための実践的ヒント

結婚相談所のカウンセラーとして長く活躍し、真のやりがいを見つけるためには、いくつかの心構えと実践的なヒントがあります。

1. 感情と事実の線引きを明確にする

会員の感情に寄り添うことは重要ですが、感情に流されすぎず、事実に基づいて冷静なアドバイスをすることが求められます。美咲さんも「感情のデパートの店員」のように、様々な感情を持つお客様に対応しつつ、プロとして最高のサービスを提供することを心がけていると言っていました。

2. セルフケアを習慣化する

共感疲労やバーンアウトを防ぐためにも、自分の心と体を労わる時間を意識的に作りましょう。趣味やリラックスできる活動を通して、心のエネルギーを充電することが不可欠です。

3. 継続的な学習と情報収集

恋愛や結婚に関するトレンド、心理学の知識、コミュニケーションスキルなど、常に学び続ける姿勢が、質の高いサポートに繋がります。美咲さんのように、経験豊富なカウンセラーは、常に最新の情報をキャッチアップしています。

4. 同僚やメンターとの関係を築く

一人で抱え込まず、信頼できる同僚や先輩カウンセラーと悩みを共有し、アドバイスをもらうことは非常に有効です。同じ経験を持つ人との繋がりは、精神的な支えになります。

よくある質問(FAQ)

Q1: クレーム対応が苦手なのですが、大丈夫でしょうか?

A1: 美咲さんによると、クレームは「会員さんが本当に求めているもの」を知る貴重な機会と捉えることが大切です。感情的にならず、まずは相手の言い分を傾聴し、何に不満を感じているのかを冷静に把握することから始めましょう。全てに応える必要はなく、できることとできないことを明確に伝えるプロ意識が重要です。

Q2: 成婚させられないと、評価が下がるのではないかと心配です。

A2: 成婚はカウンセラーの努力だけで決まるものではありません。美咲さんは「ご縁は私たちが作るものではない」と強調します。大切なのは、会員さんが納得して活動できるよう、最高のサポートを提供すること。そのプロセスを評価する相談所を選ぶこと、そして自分自身の努力を認め、結果に一喜一憂しすぎない心構えが大切です。

Q3: 感情移入しすぎて疲弊しないか心配です。

A3: 美咲さんも経験したように、感情労働は心身を消耗させることがあります。意識的に「線引き」をすることが重要です。カウンセリング時間外は仕事から離れ、趣味やリラックスできる時間を作るなど、セルフケアを習慣化しましょう。また、同僚や信頼できる人に相談し、感情を共有することも有効です。

あなたの「お節介」は、誰かの人生を彩る最高のギフトになる

結婚相談所のカウンセラーの仕事は、確かに「きつい」と感じる側面も少なくありません。しかし、その「きつさ」の先には、人の人生を深く支え、その幸せを間近で見届けることができる、かけがえのない喜びと達成感が待っています。

あなたの「お節介」は、決して無駄なものではありません。それは、誰かの心に寄り添い、希望の光を灯すことができる、最高の資質です。不安を乗り越え、一歩踏み出す勇気を持てば、あなたはきっと、多くのカップルのご縁を結び、その笑顔に感動する日々を送ることができるでしょう。

もし、今、あなたがこの道に進むべきか迷っているなら、ぜひ一度、現役のカウンセラーや業界のプロに話を聞いてみてください。そして、あなたの心の中にある「誰かの役に立ちたい」という純粋な気持ちを信じて、未来への扉を開いてみませんか。

この記事を書いた人

桜井 薫 | 40代 | キャリアコンサルタント

長年、人材業界でキャリア支援に携わる中で、多くの人の仕事や人生の悩みに向き合ってきました。かつて結婚相談所のカウンセラーへの転職を検討した経験があり、その際に感じた不安や期待、そして業界のリアルな情報を深く探求。現在はキャリアコンサルタントとして、転職を考える方々が後悔のない選択ができるよう、多角的な視点から情報提供を行っています。